相続登記の必要書類
ここでは、一般的な相続登記の申請に必要となる書類について説明します。
必要書類(遺産分割協議による相続登記)
必要書類一覧
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書
・戸籍謄本等
被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等
相続人全員の戸籍謄本等
・住民票
被相続人の除の住民票
申請人の住民票
・固定資産評価証明書
遺産分割協議書
遺産分割協議は、相続人全員の口頭による合意があれば成立します。
しかしながら、相続登記の申請には、遺産分割が成立したことを証する書面の提出が求められていますので、相続した不動産の名義変更を行うには、遺産分割協議書の作成が必要になります。
その作成方法については、民法上特に定められていませんが、相続人全員により遺産分割協議が成立した旨及びその内容(どの相続財産のどの相続人が取得したのか等)を記載します。
特に、相続登記申請のための遺産分割協議書であれば、不動産の特定は登記事項証明書の記載とおりに、相続人の氏名住所は印鑑証明書の記載とおりに、記載するのを通例とします。
また、押印に用いる印鑑は必ず市町村に登録している印鑑(実印)を用いてください。
一般的には、1通の遺産分割協議書に共同相続人全員が署名押印することが多いですが、登記実務においては次のような遺産分割協議書であっても可とされています。
同一内容の遺産分割協議書を数通作成し、それに共同相続人の各自が格別に署名押印したものであっても、その全部の提出がある場合には、遺産分割協議書とみて差し支えないとされています。
遺産分割協議証明書
遺産分割協議が成立したことを証明した書面を相続人全員が格別に作成し、その全部を提出した場合であっても相続登記の申請は受理されるとされています。
遺産分割協議証明書には相続人が署名し実印で押印する必要があります。
遺産分割協議証明書の記載例
遺産分割協議証明書
平成○年○月○日○○県○○市○○区○町○丁目○号Aの死亡によって開始した相続における共同相続人B及びCが平成○年○月○日に行った遺産分割協議の結果、○○県○○市○○区○町○丁目○号Cが被相続人の遺産に属する後記物件を単独取得したことを証明する。
平成○年○月○日
○○県○○市○○区○町○丁目○号
相続人 B(又はC) 実印
不動産の表示
(略)
印鑑証明書
遺産分割協議書に押印した印鑑に係る印鑑証明書を提出する必要があります。
この遺産分割協議書に添付した印鑑証明書については、有効期限の定めはないので、過去に取得したものがあれば、それを提出しても構いません。
相続登記の添付書類としての遺産分割協議書には各相続人が実印で押印しなければなりませんので、実印をお持ちでない相続人は、住所地の市区町村役場で印鑑登録をする必要があります。
なお、15歳未満の方、成年被後見人は印鑑登録ができません。
登記実務
登記実務においては、相続登記の申請人以外の相続人が遺産分割協議書に押印した印鑑に係る印鑑証明書の提出が必要とされています。(登記通達)
これは、相続登記の申請人(遺産分割協議により申請に係る不動産を相続した相続人)は、印鑑証明書を提出する必要がないということです。つまり、押印する印鑑は実印でなくても認印でも差し支えないということになります。
しかしながら、当職に相続登記のご依頼を頂く場合は、相続人全員の合意により遺産分割協議が成立したことを担保するために、また後日の紛争予防の観点から、遺産分割協議書には、すべての相続人の方に実印で押印して頂き、印鑑証明書についてもご用意頂ております。
戸籍関係書類
@被相続人の戸籍謄本等
提出範囲
被相続人の死亡の記載のある戸籍又は除籍謄本、および出生当時の戸籍まで遡った戸籍・除籍、改製原戸籍の全部
これらの提出させる趣旨は、@相続が開始した事実、A申請人が相続人であること、Bその他に相続人がいないことを明らかにするためです。
ただし、登記実務においては、必ずしも出生当時までの戸籍謄本等の全部を提出する必要はなく、被相続人の戸籍に関しては、生殖可能年齢から死亡時までの戸籍謄本等の提供でよいとされています。
なお、共同相続人が子以外である場合は、次の戸籍謄本等も必要になります。
必要な戸籍謄本等の範囲 | |
共同相続人に被相続人の孫がいる場合 |
・被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
共同相続人が直共同相続人に被相続人の孫がいる場合系尊属の場合 |
・被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
共同相続人が兄弟姉妹の場合 |
・被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
共同相続人に甥・姪がいる場合 |
・被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
A相続人全員の戸籍謄本等
相続開始時以降に作成された戸籍謄本又は抄本が必要になります。
これを提出させる趣旨は、相続開始時において相続人が生存していたことを明らかにするためです。
住民票関係
@被相続人の除の住民票
被相続人の最後の住所地を確認するために、用意して頂きます。
また、被相続人の本籍地と登記簿上の住所地が一致しないときは、この除の住民票が相続登記の添付書類になることがあります。
A申請人の住民票
住民票には有効期限の定めはありません。
または、住民票には、マイナンバーは記載しないようにしてください。
なお、遺産分割協議書に印鑑証明書を添付したときは、この印鑑証明書が申請人の住所を証する情報となるので、住民票を提出する必要はありません。
固定資産評価証明書
これは、登録免許税の金額を明らかにするために提出するものです。
相続登記の登録免許税の額は、市町村の固定資産課税台帳に登録されてい不動産の評価額に1000分の4(4%)を乗じた金額です。
固定資産評価証明書は、相続登記を申請する年度のものをご用意ください。
(被相続人が死亡した日の年度のものではありませんのでご注意ください。)
固定資産評価通知書、公課証明書等でも不動産の評価額が記載されているものであれば差し支えありません。
必要書類(遺言による相続登記)
必要書類一覧
・遺言書
・遺言者の死亡の記載のある戸籍、除籍謄本
・申請人の戸籍謄本又は抄本
・申請人の住民票の写し
・固定資産評価証明書
遺言書
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。
その他に特殊な遺言として危急時遺言などがあります。
公正証書遺言以外の遺言
公正証書遺言以外の形式で作成された遺言を執行するには、家庭裁判所の検認手続を受ける必要があります。ただし、法務局による自筆証書遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言について、家庭裁判所の検認は不要です。
遺言の検認とは
遺言書の存在を確認し、その偽造、変造を防止することが目的に行われる手続です。
遺言成立の真否や、その内容の有効無効を判断するものではありません。
特定の不動産を相続人何某に相続させる内容の遺言により、相続登記の申請する場合には、家庭裁判所の検認済の遺言書を提出する必要があります。
検認を受けていない遺言書を添付した相続登記の申請は却下されます。
遺言検認調書の謄本
家庭裁判所は、遺言書の検認を行った場合、所定の手続を経てこの遺言検認調書を作成します。
何らかの理由により検認済の遺言書の原本を提出することができないときは、遺言書の提出に代えて、この遺言検認調書の謄本を提出することができます。
公正証書遺言
公正証書遺言を相続登記の添付書類として提出する場合、家庭裁判所の検認は不要です。
公正証書遺言の謄本を提出します。
戸籍関係書類
・遺言者(被相続人)の死亡の記載のある戸籍又は除籍謄本
・申請人の戸籍謄本又は抄本
なお、申請人が配偶者又は子以外の相続人である場合は、次の戸籍謄本等が必要になります。
申請人 | 提出する戸籍謄本等 |
遺言者の孫(代襲相続人) |
・遺言者の死亡の記載のある戸籍、除籍謄本 |
遺言者の親(直系尊属) |
・遺言者の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
遺言者の兄弟姉妹 |
・遺言者の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
遺言者の甥・姪(代襲相続人) |
・遺言者の出生から死亡までの戸籍、除籍謄本等 |
申請人の住民票の写し
住民票には有効期限の定めはありません。
または、住民票には、マイナンバーは記載しないようにしてください。
その他に、印鑑証明書や戸籍の附票など市町村役場が作成した住所を証明する書面であれば差し支えありません。
固定資産評価証明書
これは、登録免許税の金額を明らかにするために提出するものです。
相続登記の登録免許税の額は、市町村の固定資産課税台帳に登録されてい不動産の評価額に1000分の4(4%)を乗じた金額です。
固定資産評価証明書は、相続登記を申請する年度のものをご用意ください。
(被相続人が死亡した日の年度のものではありませんのでご注意ください。)
固定資産評価通知書、公課証明書等でも不動産の評価額が記載されているものであれば差し支えありません。
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