数次相続が発生した場合の遺産分割協議
数次相続とは、ある人の死亡により相続が開始(第一次相続)したが、その遺産分割協議が未了のうちに共同相続人が死亡して新たに相続が開始すること(第二次相続)をいいます。ここでは、数次相続が発生したときの遺産分割協議について解説します。

数次相続が発生した場合の遺産分割協議

ここでは、数次の相続が開始した場合における遺産分割協議について解説します。

 

数次相続とは
数次相続とは、ある人の死亡により相続が開始(第一次相続)したが、その遺産分割協議が未了のうちに共同相続人が死亡して新たに相続が開始すること(第二次相続)をいいます。
第二次相続の共同相続人が死亡し相続が開始(第三次相続)すれば、更なる数次相続が発生することになります。

 

数次相続が発生した場合の遺産分割協議の当事者
数次相続が発生した後に行う第一次相続の遺産分割協議は、第一次相続の相続人および第一次相続開始後に死亡した相続人の相続人が行うことになります。

 

相続人は、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされています。(民法896条)

 

被相続人の財産に属した一切の権利義務には、法律上の地位も含まれますので、第一次相続開始後に死亡した相続人の相続人は、第一相続の相続人たる地位を相続により承継することになります。

 

そして、相続人は、遺言により遺産分割が禁止されていない限り、いつでも遺産分割の協議を求めることができます(民法907条1項)ので、第一相続の相続人たる地位を相続により承継した相続人は、遺産分割協議を求め、その遺産分割協議に参加することができます。

 

数次相続による遺産分割協議の具体例

@被相続人Aの相続開始(第一次相続)後、遺産分割協議未了のうちに、相続人である妻Bが死亡した場合

 

 

実務において、実際によく見られるケースです。
第一次相続の相続人は、妻B、子Cおよび子Dですが、妻Bが死亡しているるため、第一次相続の相続人たる地位を承継した妻Bの法定相続人と子Cおよび子Dで、遺産分割協議を行います。

 

妻Bの法定相続人は子C及び子Dですので、第一次相続の遺産分割協議は、子Cおよび子Dが、A相続人兼A相続人Bの相続人として遺産分割協議を行うことになります。

 

A被相続人Aの相続開始(第一次相続)後、遺産分割協議未了のうちに、相続人である子Cが死亡した場合

 

 

第一次相続の相続人は妻B、子Cおよび子Dですが、子Cが死亡しているるため、第一次相続の相続人たる地位を承継した子Cの法定相続人と妻Bおよび子Dで、遺産分割協議を行います。

 

子Cの法定相続人は妻E及び子Fですので、妻B、子D、妻Eおよび子Fで、第一次相続の遺産分割協議を行うことになります。

 

 

B妻Bに先夫との間に子がいるケース
被相続人Aの相続開始(第一次相続)後、遺産分割協議未了のうちに、相続人である妻Bが死亡した場合

 

 

 

第一次相続の相続人は、妻B、子Cおよび子Dですが、妻Bが死亡しているため、第一次相続の相続人たる地位を承継した妻Bの法定相続人と子Cおよび子Dで、遺産分割協議を行います。

 

妻Bの法定相続人は子C、子D及び子Gになります。

 

子Gは、被相続人Aの子ではないので、第一次相続の相続人ではないのですが、相続人であるBの相続人ですので、第一次相続の遺産分割協議が未了のうちに、妻Bが死亡すると、本来相続人ではないGも遺産分割協議の当事者となり、遺産分割協議に参加することができるようになります。

 

第一次相続の遺産分割協議は、子C及び子D(Aの相続人兼Aの相続人Bの相続人として)と、G(Aの相続人Bの相続人として)遺産分割協議を行うことになります。

 

この場合、被相続人Aと血縁関係のない者が遺産分割協議に参加することになります。

 

数次相続と代襲相続が絡んでいる場合
被相続人Aの相続開始(第一次相続)後、遺産分割協議未了のうちに、相続人である子Cが死亡した場合

 

 

第一次相続の相続人は、妻B、子Cおよび子Dの子I(代襲相続人)になりますが、子Cが死亡しているため、第一次相続の相続人たる地位を承継した子Cの法定相続人と妻Bおよび子Dの子I(代襲相続人)で、遺産分割協議を行います。

 

子Cの法定相続人は妻E及び子Fですので、妻B、子Dの子I(代襲相続人)、妻Eおよび子Fで、第一次相続の遺産分割協議を行うことになります。

 

子Dは第一次相続開始(被相続人Aの死亡)前に死亡しているため、代襲相続が発生し、子Dの子I(Aの孫)がDに代わって相続人になります。
これは、数次相続ではなく、代襲相続ですので、子Dの妻Hは(代襲)相続人にはなりません。

 

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