不動産を遺贈されたときの登記手続(名義変更)
不動産を遺贈されたときは、当該不動産の登記名義を遺言者名義から受遺者(遺贈を受けた人)名義に変更するための登記手続きを行います。

不動産を遺贈されたときの登記手続(名義変更)

不動産を遺贈されたときは、当該不動産の登記名義を遺言者名義から受遺者(遺贈を受けた人)名義に変更するための登記手続きを行います。

遺贈とは、遺言による贈与のことで、遺言者の死亡によりその効力を生じます。(民法第985条)
遺贈には、遺産の全部又はその一定割合を無償譲渡する包括遺贈と、財産を特定して無償譲渡する特定遺贈があります。(第964条)
遺言者の死後、遺贈を履行するには、遺言書の検認手続きを経る必要があります。(第1004条)

 

遺贈による所有権移転登記(名義変更)の手続

不動産の遺贈による名義変更(遺贈による所有権移転登記)の手続きは、受遺者と遺贈者が共同して不動産の所在地を管轄する法務局に所有権移転登記を申請することにより行います。

 

なお、登記手続きの時点では、遺贈者は死亡しているのでその相続人全員が遺贈者に変わり受遺者とともに手続きを行います。

 

ただし、遺言執行者がある場合、遺言執行者が受遺者とともに登記手続きを行います。
遺言書に遺言執行者の指定がない、または遺言執行者の指定はあるがその就任を承諾しない場合、受遺者は家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てることができます。

 

必要書類
遺贈による所有権移転登記の申請に必要な書類は次のとおりです。

 

@遺言書(家庭裁判所の検認済のもの)

 

A遺言書の死亡の記載がある戸籍謄本等

 

B遺言者の登記済証又は登記識別情報

 

C遺言執行者の権限を証する書面
遺言執行者が遺言により指定されている場合、当該遺言書及び遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本等、遺言執行者が家庭裁判所により選任された場合は、選任審判書の謄本

 

D相続を証する書面
遺言執行者がない場合、遺言者の相続人を明らかにするため、遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等及び相続人の戸籍謄本

 

E遺言執行者の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)
遺言執行者がいない場合は、遺言者の相続人全員の印鑑証明書(作成後3ヶ月以内のもの)

 

F受遺者の住民票

 

G固定資産税評価証明書

 

遺贈による所有権移転登記の単独申請

先述の通り、遺贈を原因とする所有権移転登記は、受遺者と遺言執行者(又は遺贈者の相続人全員)が共同して申請しますが、改正不動産登記法により、登記権利者(受遺者)の単独申請が認められることになりました。

 

単独申請の要件

@遺贈による所有権移転登記の申請であること
単独申請が認められるのは所有権の移転のみであり、遺贈により地上権等の所有権以外の権利を取得したときは原則通り共同申請になります。

 

A相続人に対する遺贈であること(登記権利者は相続人である受遺者であること)
相続人以外の者への遺贈の場合は、原則通り共同申請になります。

 

改正不動産登記法第63条第3項
遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第60条の規定にかかわらず登記権利者が単独で申請することができる。

 

この改正不動産登記法は、令和5年4月1日から施行されます。

 

遺贈による所有権移転登記の登録免許税

遺贈による所有権移転登記の登録免許税は、遺贈され不動産の固定資産税評価額に1000分の20を乗じた金額になります。(登録免許税法別表一・一(二)ハ)

 

ただし、受遺者が相続人の場合は、遺贈された不動産の固定資産税評価額に1000分の4を乗じた金額になります。(登録免許税法第17条参照、登録免許税法別表一・一(二)イ)

 

この税率(1000分の4)の適用を受けるには、戸籍謄本等の受遺者が相続人であることを証する書面を添付する必要があります。
(平成15年4月1日法務省民二第1022号民事局長通達第一・二)

 

 

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