相続が開始したが相続人のあることが明らかでないため、相続財産管理人が選任されると、相続人を捜索するために官報により相続人捜索公告がなされます。
この公告期間(6ヶ月)内に相続人が現れないと、相続人の不存在が確定します。
相続人の不存在が確定し、残余相続財産があるときは、被相続人と特別の縁故にあった者は、残余相続財産の全部又は一部を請求することができます。
これを特別縁故者による財産分与の請求と言います。
特別縁故者が残余相続財産の分与を受けるには、相続開始地の家庭裁判所に財産分与の審判を申立てる必要があります。
この分与の審判は、相続人捜索公告の満了後(相続人不存在の確定)3ヶ月以内に申立てなければなりません。
第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間(相続人捜索期間)の満了後3ヶ月以内にしなければならない。
特別縁故者が家庭裁判所の審判により不動産の分与を受けたときは、登記手続(不動産の名義変更の手続)が必要になります。
登記手続きは、分与を受けた不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
特別縁故者による単独申請
特別縁故者が審判により不動産の分与を受けたときの登記手続きは、判決による登記(不動産登記法第63条第1項)に準じて特別縁故者が単独で所有権移転登記を申請することが認められています。
審判によって不動産に関する権利を取得した特別縁故者は、その審判に基づき単独でその権利取得の登記を申請することができる。(昭和37年6月15日付民事甲第1605号民事局長通達)
登記原因
「民法第958条の3の審判」
登記原因の日付
「審判の確定した日」
添付書類
・審判書正本及び確定証明書
・権利取得者(特別縁故者)の住民票
民法第958条の3の審判を登記原因とする所有権移転登記は特別縁故者による単独申請ですので、登記名義人(被相続人)の登記識別情報又は登記済権利証は不要です。
登録免許税の額
固定資産税評価額の1000分の20
前提登記の申請
民法第958条の3の審判を登記原因とする所有権移転登記を申請する前提として、相続人不存在による「亡何某相続財産」とする登記名義人氏名変更登記を申請する必要があります。
この登記名義人変更登記の申請は、相続財産法人の代理人である相続財産管理人が申請します。
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