中間省略による相続登記
中間省略登記とは、中間の権利変動に関する登記を省略して、登記名義人から直接現在の権利者に名義変更する登記のことをいいます。権利変動の過程を忠実に反映することが要請される不動産登記において、中間省略登記は認められませんが、相続登記に関しては、中間の相続が単独相続である等一定の要件を満たす場合、例外的に中間省略登記が認められることがあります。

中間省略による相続登記

中間省略登記とは
例えば、Aを登記名義人とする不動産の所有権が、AからB、BからCへ移転した場合に、AからBへの所有権移転登記を省略して、登記名義人であるAから現在の所有者でCへ直接所有権移転登記を行うことを中間省略登記と呼んでいます。

 

原則、中間省略登記は認められない
不動産登記制度は、その権利変動を過程を忠実に登記簿に反映することが要請されていることから、中間の権利変動を省略して登記することは認められないのが原則ですが、相続登記に関しては一定の要件を満たす場合、中間省略による相続登記の申請が認められることがあります。

 

中間省略による相続登記の申請が認められる場合とは
登記先例では、省略する相続がすべて単独相続の場合に限り、中間の相続を省略して一の申請により相続登記を行うことがでるとされています。(昭和30年12月16日民事甲第2670号民事局長回答参照)

 

ここで言う、単独相続とは、相続人が本来一人の場合であるのみならず、相続人が数人あっても、遺産分割、相続放棄又は他の相続人に相続分がないために、当該不動産について相続人中の一人が単独相続している場合も含みます。

 

中間省略による相続登記の申請方法ですが、登記原因に省略した相続の年月日及び相続人を併記することにより行います。
例えば、平成20年○月○日にA名義の不動産をBが相続し、その後この不動産を平成30年○月○日にCがBから相続した場合
登記原因 「平成20○月○日B相続平成30年○月○日相続」と記載します。

 

省略する中間の相続が単独相続であればよく、最終の相続が共同相続であっても、中間省略により相続登記の申請が可能です。

 

中間相続が遺産分割により単独相続となった場合

 

 

A名義の甲不動産を、相続人B、C、Dの遺産分割協議によりCが取得することにした場合、甲不動産についてはCが単独相続したことになります。

 

その後、Cの死亡により開始し相続につき、EおよびFの遺産分割協議によりCがAから相続した甲不動産をFが相続することになったときは、FはAからCへの相続登記を省略してAからFへの相続登記を一の申請により行うことができます。

 

Bの死亡前に遺産分割協議が行われていなかったときは、B、D、E、Fの遺産分割協議により、甲不動産はFが取得することに決すれば、中間省略によりAからFへの相続登記を一の申請により行うことができます。
(この遺産分割は、B、D、E、Fの合意により甲不動産は亡Cが相続すること、E、Fの合意により亡Cが相続することになった甲不動産をFが相続することを、一の分割協議により行ったことになります。)

 

中間相続が相続放棄により単独相続となった場合
相続人BおよびDが、Aの相続につき相続放棄をすると、Cが唯一の相続人となるので、A名義の甲不動産はCが単独相続することになります。

 

その後、Cの死亡により開始し相続につき、EおよびFの遺産分割協議によりCがAから相続した甲不動産をFが相続することになったときは、FはAからCへの相続登記を省略してAからFへの相続登記を一の申請により行うことができます。

 

中間相続が他の相続人に相続分がないために単独相続となった場合
相続人BおよびDが、Aから特別受益に該当する生前贈与を受けたため、具体的相続分がない(超過特別受益者)場合、Cは、A名義の甲不動産を単独相続することになります。

 

その後、Cの死亡により開始し相続につき、EおよびFの遺産分割協議によりCがAから相続した甲不動産をFが相続することになったときは、FはAからCへの相続登記を省略してAからFへの相続登記を一の申請により行うことができます。

 

 

 

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