相続登記の登録免許税(具体的な計算方法も紹介)
相続登記の登録免許税について、具体的な計算方法を交えて司法書士が解説しています。相続登記を申請するには、登録免許税を納付する必要があります。相続登記の登録免許税は不動産の価格(固定資産税評価額)の0・4%です。

相続登記の登録免許税

相続登記を申請するときは、登記を受ける者(申請人)が登録免許税を納付しなければなりません。

 

ここでは、相続登記にかかる登録免許税の概要、具体的な計算方法について、不動産登記の専門家である司法書士が解説します。

 

 

登録免許税の算定

相続登記の登録免許税は、不動産の価額を課税標準として、それに一定の税率を乗じて登録免許税の額を算出する定率課税の方式が採られています。

 

相続登記の登録免許税率は1000分の4(0.4%)です。

 

相続登記の登録免許税=課税標準×税率(0.4%)

 

不動産の価額
相続登記の登録免許税の課税標準である不動産の価額とは、登記申請時点での不動産の時価とされますが、登記申請の都度、登記官が不動産の時価を算定していては、迅速且つ画一的な登記処理の妨げになることから、登記実務では、固定資産課税台帳に登録された不動産の価額(いわゆる固定資産税評価額)をもって、課税標準である不動産の価額としています。

登記の申請日 不動産価格の基準日
1月1日から3月31日 前年の12月31日現在の固定資産税評価額
4月1日から12月31日 その年の1月1日現在の固定資産税評価額

例えば、令和2年1月1日から令和2年3月31日までの間に登記を申請した場合は、令和元年(平成31年)度の固定資産税評価額が、令和2年4月1日から令和2年12月31日までの間に登記を申請した場合は、令和2年度の固定資産税評価額が、課税標準である不動産の価額となります。

 

 

具体的な登録免許税の計算

相続登記の登録免許税を具体的な事例をもとに計算してみます。

 

@1筆の土地の相続
固定資産税評価額が12,345,670円の土地を相続したときの相続登記の登録免許税の額

 

12,345,000円(課税標準(不動産の価額)※1)×1000/4(税率)=49,380円
登録免許税の額(※2)=49,300円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

A2筆の土地の相続
固定資産税評価額が12,345,670円の土地および固定資産税評価額6,543,210円の土地を相続したときの相続登記の登録免許税の額

 

複数の不動産を一括して登記申請する場合の登録免許税の額は、課税標準(固定資産税評価額)を合算した後に端数処理を行います。

 

課税標準=12,345,670円+6,543,210円=18,888,880円
18,888,000円(課税標準(不動産の価額)※1)×1000/4(税率)=75,552円
登録免許税の額(※2)=75,500円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

B土地持分の相続
固定資産税評価額が12,345,670円の土地の持分3分の1を相続したときの相続登記の登録免許税の額

 

土地全体の評価額に移転した持分割合を乗じた額を、課税標準(移転した持分の価額)とします。

 

移転した持分の価額=12,345,670円×1/3(移転した持分割合)=4,115,223円
4,115,000円(課税標準(移転した持分価額)※1)×1000/4(税率)=16,460円
登録免許税の額(※2)=16,400円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

C土地と建物の相続
固定資産税評価額が27,654,300円の土地および固定資産税評価額が6,543,200円の建物を相続したときの相続登記の登録免許税の額

 

土地と建物を一括して登記申請する場合の登録免許税の額は、土地と建物の課税標準(固定資産税評価額)を合算した後に端数処理を行います。

 

課税標準=27,654,300円+6,543,200円=34,197,500円
34,197,000円(課税標準(不動産の価額)※1)×1000/4(税率)=136,788円
登録免許税の額(※2)=136,700円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

 

Dマンション(敷地権付区分建物)の相続
専有部分(マンションの一室)の固定資産税評価額が6,543,200円、その敷地全体の固定資産税評価額が245,678,900円、敷地権(所有権)の割合が217000分の7432のマンションを相続したときの登録免許税

 

敷地権の課税価格を計算します。
算出した敷地権の課税価格と専有部分の課税価格を合算した後に端数処理を行います。

 

敷地権の課税価格
敷地権の課税価格は、マンションが建っている土地全体の固定資産税評価額に敷地権割合を乗じた額になります。
敷地権の課税価格=245,678,900円×7432/217000=8,414,219・28円

 

課税標準=6,543,200円(専有部分)+8,414,219円(敷地権)=14,957,419円
14,957,000円(課税標準(不動産の価額)※1)×1000/4(税率)=59,828円
登録免許税の額(※2)=59,800円

 

※1課税標準の価額に千円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。
※2納付する登録免許税の額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てます。

 

 

 

登録免許税の納付方法

登録免許税の納付方法として、現金納付、印紙納付、電子納付が認められています。
登録免許税は、登記申請時に全額納付しなければならず、分割納付は認められていません。

 

現金納付
日本銀行本支店・代理店(銀行等)おいて、納付書を用いて登録免許税相当額を納付し、発行された領収書が貼付された登記申請書を管轄法務局に提出します。

 

印紙納付
登録免許税相当額の収入印紙を貼付した登記申請書を管轄法務局に提出します。
法令では、登録免許税額が3万円以下の場合等に認められる納付方法ですが、実務において登録免許税の額が3万円を超える場合でも、収入印紙による納付が認められています。

 

電子納付
オンラインによる登記申請の場合、インターネットバンキング、モバイルバンキング、ATMを利用することにより電子納付することができます。

 

 

 

お電話によるお問い合せ

052-848-8033

 

メールによるお問い合せ

 

相続登記の相談室
〒467-0056
名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地
瑞穂ハイツ403号
運営事務所 司法書士八木隆事務所