表題部のみの不動産を相続したときの登記手続(所有権保存登記)
表題部のみ登記されている不動産を相続した場合、相続人は、自己名義の所有権保存登記を申請することができます。

表題部のみの不動産を相続したときの登記手続(所有権保存登記)

所有権の登記(権利の登記)がなされていない表題部のみが登記されている不動産を相続した場合の登記手続きについて解説します。

 

まずは、不動産登記の『表題部』について説明します。

 

不動産登記は、表題部と権利部により構成されています。
不動産の登記記録(登記簿)は、1筆の土地、1個の建物のごとに作成されています。

 

表題部とは、1筆(土地)又は1個(建物)の物理的現況を公示するために設けられている部分で、土地であれば、所在、地番、地目、地積等が記録されます。
建物であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積等が記録されます。

 

権利部とは、権利の主体や権利変動の過程と、不動産の権利関係に関して記録される部分です。
権利部は甲区と乙区に分かれ、甲区には、所有権に関する事項が、乙区には所有権以外の権利に関する事項が記録されます。

 

ある不動産について、表題登記完了後に、当該不動産について初めてなされる所有権の登記のことを所有権保存登記といいます。

 

表題登記と所有権保存登記は連件申請が認められないので、表題登記が完了した後に、所有権保存登記を申請することになります。

 

未登記建物について、表示登記の申請と連件でされた所有権保存の登記の申請は、表示登記が即日に登記される場合以外は却下することができる。(登記研究536号175頁質疑応答7317)

 

表題部のみがなされている不動産とは、表題登記の申請により表題部は設けられたが、その後所有権の保存登記が申請されていない不動産のことをいいます。

 

相続人による所有権保存登記の申請

所有権保存登記の申請人
所有権保存登記は、表題部所有者(表題部の所有者欄に所有者としてその氏名及び住所が記載されている者)が申請人になりますが、表題部所有者が死亡した場合、その相続人が所有権保存登記の申請人になることができます。

 

表題登記のみがなされた不動産を相続した者は、表題部所有者(被相続人)名義の所有権保存登記を経由することなく、直接自己名義(相続人名義)の所有権保存登記を申請することができます。

 

不動産登記法第74条1項 
所有権の保存の登記は、次に掲げる者以外の者は、申請することができない。
1 表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人
2 所有権を有することが確定判決によって確認された者
3 収用によって所有権を取得した者

 

 

表題部所有者甲の土地を、相続人で子ABCが相続した場合、

 

相続人全員で、または各相続人が単独で、ABC各3分の1の割合による共有名義の所有権保存登記を申請することができます。
但し、相続人のうちの一人が自己の持分(相続分)のみの所有権保存登記を申請することは認められていません。

 

 

遺産分割協議または、特定財産承継遺言(相続させる旨の遺言)により、当該不動産について相続人Aが単独取得したのであれば、相続人Aは、単独名義の所有権保存登記を申請することができます。

 

相続人による所有権保存登記の添付書面について

相続人による所有権保存登記の申請に必要な書類ですが、相続登記の申請の場合と同様に、法定相続分による共有名義の所有権保存登記の申請であれば、表題部所有者(被相続人)の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍全部事項証明書(戸籍除籍謄本)、相続人全員の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本又は抄本)、相続人全員の住民票の写し等が、遺産分割協議により特定の相続人が単独取得したのであれば、表題部所有者(被相続人)の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍全部事項証明書(戸籍除籍謄本)、相続人全員の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本又は抄本)、遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書を添付)申請人である相続人の住民票の写し等が、必要になります。

 

 

 

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