相続登記における相続関係説明図を解説
相続登記における添付書面の原本還付を請求する場合において、いわゆる「相続関係説明図」が提出されたときは、戸籍謄本等のコピーを提出しなくてもその原本の還付を受けることができます。

相続登記における相続関係説明図を解説

相続登記の申請の際に添付書類する「相続関係説明図」について解説します。

 

 

提出理由は、戸籍謄本等の原本還付を受けるため

これは、相続登記に限ったことではありませんが、登記申請時の添付書類は、その原本を提出します。
提出した原本は、登記完了後に返還を受けることができます。(委任状等、原本還付を受けることができない書類もあります。)

 

原本還付請求(提出した原本の還付を受けるための手続き)
提出した原本の還付を受けるには、原本とそのコピーを登記申請時に提出します。
コピーには、『原本に相違ない』と記載して署名(記名)・押印します。

 

以上が、原本還付を受けるための原則的な手続きですが、相続登記の申請について特例的措置が認められています。それが、相続関係説明図を提出する方法です。

 

この相続関係説明図を提出することにより、相続登記の添付書類のうち、戸籍謄本等に限りそのコピーを提出しなくても原本の還付を受けることができます。

 

相続による権利の移転の登記等における添付書面の原本の還付を請求する場合において、いわゆる相続関係説明図が提出されたときは、登記原因証明情報のうち、戸籍謄本又は抄本及び除籍謄本に限り、当該相続関係説明図をこれらの書面の謄本として取り扱って差し支えない。
(平成17年2月25日民二第457号民事局長通達)

 

本来、提出した戸籍謄本等の原本の還付を受けるには、戸籍謄本等の全部をコピーした上で、原本とそのコピーを提出しなければならないところ、相続関係説明図を提出すればこれらのコピーをを提出しなくても原本の還付を受けることができるということです。

 

逆に言えば、戸籍謄本等の原本に相違ない旨の記載があるコピーを提出すれば、相続関係説明図を提出しなくても戸籍謄本等の原本の還付を受けることができます。
また、提出した戸籍謄本等の原本を求めないのであれば、そもそも相続関係説明図の提出は不要です。

 

相続関係説明図を提出した場合に原本還付できる書類の範囲
前掲通達によれば、登記原因証明情報のうち、戸籍謄本又は抄本及び除籍謄本に限りとしていますが、改製原戸籍も含まれます。

 

相続関係説明図を提出しても還付を受けることができない書類
外国発行の戸籍謄本等、被相続人の同一性を証する除の住民票の写し又は戸籍の附票、遺産分割協議書、印鑑証明書、住民票の写し等は、相続関係説明図を提出したとしてもその原本の還付を受けることができません。
これらの書類の還付を受けたいときは、原則通り、還付を受けたい書類のコピーを提出する必要があります。

外国人が相続による権利の移転の登記を申請する場合において、登記原因証明情報として相続関係説明図が提出されても、外国の官憲が作成し、又は外国で発行された戸籍謄本等については、その写しが添付されない限り、原本の還付をすることができない。
(登記研究778号147頁【質疑応答】7945)

 

 

相続関係説明図の様式

決まった様式はありませんが、法務局ホームページで提供している相続関係説明図の記載例では、被相続人の氏名及び最後の住所並びに死亡年月日、相続人の氏名及び住所、当該申請に係る不動産を相続した相続人は生年月日と括弧書きで「相続」と、遺産分割協議により取得しなかった相続人は括弧書きで「分割」と記載しています。
この相続関係説明図は、戸籍謄本等のコピーの代用として提出するものであれば、相続人の住所(住所は戸籍謄本等には記載されていません。)の記載は不要であり、すべての相続人の生年月日、続柄等の戸籍に記載されている本人事項について記載すべきではないかと考えますが、実際に相続登記申請用として相続関係説明図を作成するときは、法務局が提供している記載例に準拠して作成した方が間違いがないと思います。

 

なお、相続関係説明図の作成者の氏名、その署名(記名)押印は不要です。

 

【法務局ホームページの記載例】

 

 

 

 

 

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