農地を相続したときに必要となる手続き

農地(田・畑)を相続したときには、農地の名義を変更する相続登記の手続と、農業委員会への権利取得の届出が必要になります。

 

農地の相続登記

農地を相続したときは、相続登記の手続きを行います。
相続登記とは、不動産の所有者に変更が生じたときに行う登記名義変更
相続には、遺言による相続と遺産分割による相続があります。

 

被相続人(遺言者)は、遺言により遺産分割の方法を指定することができます。

 

特定の相続人に対して遺産の全部又は特定した遺産を相続させる旨の遺言、いわゆる「相続させる旨の遺言」は、遺産分割の方法の指定と解され、この遺言により遺産を相続した者は、遺産分割を経ることなく、相続開始時に全部の又は特定の遺産を相続により取得するとされています。

 

たとえば、長男Aに遺言者が所有するすべての農地を相続させるとの遺言があれば、長男Aは、相続開始時(被相続人の死亡時)にすべて農地を相続により取得することになります。

 

遺言がないときは、法律の定めに従い相続することになります。(法定相続)

 

相続が開始すると被相続人の遺産は、法定相続分により相続人全員が共有することになります。
この相続人が遺産を共有する状態を解消し、個々の遺産について、どの相続人が取得するのかを決める手続きが遺産分割です。

 

上記のような遺言がない場合、長男Aが後継者として農地のすべてを相続するには、遺産分割を行う必要があります。

 

相続人全員の話し合いにより誰がどの財産を取得するのかを決定するのが遺産分割協議です。
相続人の一部が協議に応じないなどにより協議ができない場合、又は協議したものの合意することができないときは、相続人は、家庭裁判所に遺産分割の調停又は審判を申立てることができます。

 

農地を相続により取得した者は、農地の所在地を管轄する法務局で名義変更の手続きを行います。

 

不動産の名義変更を行う手続きのことを登記といい、相続による不動産の名義変更のことを特に相続登記と呼んでいます。

 

【関連記事】
相続させる旨の遺言による相続登記

 

相続登記の申請手続(遺産分割協議による場合)

 

農地の相続には農地法の許可等は必要か?

農地を売買、贈与等により取得するには、原則農地法の許可等が必要になりますが、農地を相続させる旨の遺言により取得した場合又は遺産分割協議により取得した場合は、いずれも農地法の許可等は不要です。
但し、後述のとおり、権利取得の届出が必要になります。

 

 

農地等についての権利取得の届出(法第3条の3)

相続等により許可を受けることなく農地等の権利を取得した者は、農業委員会にその旨を遅滞なく届けなければなりません。

 

権利取得の届出期間

法律では遅滞なく届け出ることとなっていますが、農地法関係事務に係る処理基準について(基準通知)によると、「「遅滞なく」とは、農地等の権利を取得したことを知った時点から概ね10か月以内の期間とする。」とされています。

 

1,遺言により農地を相続した場合
遺言により農地を相続(取得)したことを知ったときから10ヶ月以内に農業委員会へ届け出る必要があります

 

2,遺産分割により農地を相続した場合
@相続開始から10ヶ月以内に遺産分割協議が成立した場合
遺産分割協議成立の日から10ヶ月以内に農業委員会へ届け出る必要があります。

 

A相続開始を知ったときから10ヶ月以内に遺産分割協議が成立しない場合
相続開始を知った時から10ヶ月以内に相続人全員により農業委員会へ届け出る必要があり、その後、遺産分割協議成立したときは、遺産分割協議成立の日から10ヶ月以内に再度農業委員会へ届け出る必要があります。

 

現況が農地であれば権利取得の届出が必要

農地法は、現況主義と言って、登記地目が非農地であっても、現況が農地であれば農地法が適用されます。
相続した土地の登記地目が非農地であったとしても現況が農地であれば、権利取得の届出が必要になります。
また、都市計画法上の区域区分の内外を問わず、すべての農地が権利取得の届出の対象となります。

 

 

まとめ

農地を相続させる旨の遺言があれば、遺産分割協議は不要ですので、遺言により農地を取得した相続人は直ちに農地の所在地を管轄する法務局で相続登記の手続きを行いましょう。
また、農地の所在地の市町村の農業委員会へ権利取得の届出で行いましょう。

 

相続させる旨の遺言がないときは、遺産分割の手続が必要となりますので、まずは遺産分割協議を成立させる必要があります。
遺産分割が成立したら、遺産分割により農地を取得した相続人は、遺産分割協議書等の書類を作成し、管轄法務局に相続登記を申請します。

 

相続登記を行ったかどうかに関係なく、農地法の権利取得の届出が必要になりますので、農業委員会への権利取得の届出も忘れずに行いましょう。

 

相続開始から10ヶ月以内に遺産分割がまとまりそうでないときは、とりあえず相続人全員で農業委員会への権利取得の届出を行っておきましょう。

 

 

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