借地権付建物を相続したときの相続登記
借地権付建物を相続したときの相続登記について司法書士が解説します。借地権の登記が為されていない場合は、建物の相続登記のみを申請し、借地権の登記がなされている場合、建物の相続登記と、借地権の相続登記(賃借権移転の登記)を申請します。

借地権付建物を相続したときの相続登記

この記事では、借地権付きの建物を相続したときに必要となる登記手続きについて、司法書士が解説致します。

 

借地権付建物の場合、相続の対象は、建物とその建物が建っている敷地の借地権になります。

 

賃借権(借地権)の登記がなされていない場合
借地権付建物を相続したときは、その建物についてのみ相続登記を申請します。

 

賃借権(借地権)の登記がなされている場合
なお、借地権の登記がなされているときは、建物の相続登記と、借地権の相続登記(相続を原因とする賃借権移転の登記)を申請します。

 

 

借地権の登記について
借地権とは、建物の所有を目的とする土地賃借権又は地上権のことです。(借地借家法第2条第2号)

 

建物所有を目的とする土地賃借権又は地上権は、借地権として借地借家法により、その借地人(賃借人)の地位が通常の賃借人より一層保護されています。

 

不動産賃借権は債権であり、本来第三者に対抗することができない(賃借権を契約当事者以外の者に対して主張することができない)が、賃借権の登記をすることにより第三者に対して対抗することができるようになります。(民法第605条)

 

借地権については、借地借家法により、賃借権の登記がなくても所有建物の登記をすることにより借地権を第三者に対抗することができるようになります。(借地借家法第10条)

 

 

建物所有を目的とする土地の賃借権の設定登記の記載例
【権利部乙区】

順位番号 登 記 の 目 的 受付年月日・受付番号 権 利 者 そ の 他 の 事 項
1 賃借権設定

平成何年何月何日
第何号

原因 平成何年何月何日設定
目的 建物所有
賃料 1月何万円
支払時期 毎月末日
存続期間 30年
特約 譲渡、転貸ができる。
賃借権者 何市何町何番地
 何 某

 

借地権の登記がある場合の相続登記の手続き

借地権付建物を相続させる旨の遺言があるときは、遺産分割協議を経ることなく、遺言により借地権付建物相続した相続人は、当該遺言書を添付することにより、建物と借地権の相続登記を申請することができます。

 

借地権付建物を相続させる旨の遺言がないときは、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、この遺産分割協議により、借地権付建物を取得した相続人は、この遺産分割協議書を添付することにより、建物と借地権の相続登記を申請することができます。

 

借地権付建物を相続したときの遺産分割協議書の記載例

【借地権付建物を相続したときの遺産分割協議書の記載例】

 

遺 産 分 割 協 議 書

 

 令和元年6月20日、○○市○○町○番地 法務太郎 の死亡によって開始した相続の共同相続人である法務花子、法務一郎及び法務温子は、本日、その相続財産について、次のとおり遺産分割の協議を行った。

 

1,下記の建物は、法務一郎が相続する。
所  在 ○○市○○町一丁目23番地
家屋番号 23番
種  類 居宅
構  造 木造かわらぶき2階建
床 面 積 1階 43・00平方メートル
    2階 21・34平方メートル

 

1,下記の土地の借地権(賃貸人 賃貸太郎)は、法務一郎が相続する。
所  在 ○○市○○町一丁目
地  番 23番
地  目 宅地
地  積 123・45平方メートル

 

この協議を証するため、本協議書を3通作成して、それぞれに署名、押印し、各自1通を保有するものとする。

 

令和元年7月1日

 

○○市○○町二丁目12番地 法務 花子 実印

 

○○郡○○町○○34番地 法務 一郎 実印

 

○○市○○町三丁目45番6号 法務 温子 実印

 

借地権の相続登記の申請書記載例

借地権付き建物を相続したときの相続登記は、建物については、@「相続を原因とする所有権移転登記」を、土地(借地権)については、A「相続を原因とする賃借権移転登記」を、別の申請書により申請します。

 

@【建物の相続登記申請書の記載例】

 

登 記 申 請 書

 

登記の目的 所有権移転
原   因 令和1年6月20日相続
相 続 人 (被相続人 法 務 太 郎)
○○郡○○町○○34番地
(申請人) 法 務 一 郎 印
連絡先の電話番号00−0000−0000

 

添付情報
登記原因証明情報(戸籍謄本等、遺産分割協議書等) 住所証明情報(住民票等)

 

□登記識別情報の通知を希望しません。
(登記識別情報の通知を希望しない場合には、□にチェックをします。)

 

令和1年7月1日申請 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

 

課 税 価 格 金1、000万円(建物の固定資産税評価額)
登録免許税 金4万円(固定資産税評価額の1000分の4)

 

不動産の表示
不動産番号 0987654321012
所  在 ○○市○○町一丁目23番地
家屋番号 23番
種  類 居宅
構  造 木造かわらぶき2階建
床 面 積   1階 43・00平方メートル
               2階 21・34平方メートル

 

A【借地権(賃借権)の相続登記申請書の記載例】

 

登 記 申 請 書

 

登記の目的 ○番賃借権移転
原   因 令和1年6月20日相続
相 続 人 (被相続人 法 務 太 郎)
○○郡○○町○○34番地
(申請人) 法 務 一 郎 印
連絡先の電話番号00−0000−0000

 

添付情報
登記原因証明情報(戸籍謄本等、遺産分割協議書等) 

 

□登記識別情報の通知を希望しません。
(登記識別情報の通知を希望しない場合には、□にチェックをします。)

 

令和1年7月1日申請 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)

 

課 税 価 格 金1、000万円(土地の固定資産税評価額)
登録免許税 金2万円(固定資産税評価額の1000分の2)

 

不動産の表示
不動産番号 1234567890123
所  在 ○○市○○町一丁目
地  番 23番
地  目 宅地
地  積 123・45平方メートル

 

 

 

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