法定相続分の変遷
相続人が数人いる場合、各相続人は相続財産に対して抽象的な一定割合の持分を有しています。この持分のことを相続分といいます。相続分の割合は、遺言による指定がなければ民法で定める割合(法定相続分)になります。

法定相続分の変遷

相続人が数人いる場合、各相続人は相続財産に対して一定割合の持分を有します。
この持分のことを相続分といいます。

 

指定相続分と法定相続分
被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を指定し、又はその指定を第三者に委託することができます。(民法902条)
この被相続人又は委託された第三者が指定した相続分を指定相続分といいます。

 

この指定がない場合、相続分は民法が定める相続分によることになります。(民法900条、901条)
民法が定める相続分を法定相続分といいます。

 

法定相続分の変遷

法定相続分の割合は、数度の法改正により変更されてきました。
相続は、相続開始時に効力を有した法律が適用されますので、相続の開始時期により法定相続分が異なりますので、注意をする必要があります。

 

昭和56年1月1日以後に開始した相続に適用
血族相続人 法定相続分
第1順位 配偶者2分の1.子2分の1(※非嫡出子の相続分)
第2順位 直系尊属 配偶者3分の2・直系尊属3分の1
第3順位 兄弟姉妹

配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1
※父母の一方を同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の2分の1

 

※非嫡出子の相続分について
平成25年法改正以前は、非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1でした。(平成25年改正法前民法900条4項但書)

 

平成25年9月4日、最高裁判所により非嫡出子の相続分に関する違憲決定が出されたことをうけて、非嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分の2分の1という民法の規定を削除する民法の一部改正が行われ、平成25年12月11日から改正法が施行されました。

 

改正法(嫡出子と非嫡出子の相続分を同等とする改正)は違憲決定が出された翌日の平成25年9月5日以後に開始する相続に適用するとされました。

 

〜嫡出でない子の相続分に関する相続登記の取扱〜
1、平成25年9月5日以後に開始した相続を原因とする相続登記
  改正法を適用して処理する

 

2、平成13年7月1日以後に開始した相続を原因とする共同法定相続登記 
(遺言や遺産分割による相続でないもの)
 嫡出子と非嫡出子の相続分は同等であるものとして、処理する

 

3、平成13年7月1日以後に開始した相続における遺産分割や遺言に基づく相続登記
最高裁決定によると「本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判、その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的となった法律関係に影響を及ぼされることはない」とされていることから、遺産分割または遺言の内容に従って処理する

 

※平成13年7月1日以後のされているのは最高裁決定において「本件規定は遅くとも平成13年7月当時において、憲法14条1項に違反していたものというべきある」旨が判示されていることによる

 

 

昭和37年7月1日から昭和55年12月31日の間に開始した相続に適用
血族相続人 法定相続分
第1順位

配偶者3分の1・子3分の2
※非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分の2分の1

第2順位 直系尊属 配偶者2分の1・直系尊属2分の1
第3順位 兄弟姉妹

配偶者3分の2・兄弟姉妹3分の1
※父母の一方を同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の2分の1

 

 

昭和23年1月1日から昭和37年6月30日の間に開始した相続に適用
血族相続人 法定相続分
第1順位 直系卑属 配偶者3分の1.子3分の2
第2順位 直系尊属 配偶者2分の1・直系尊属2分の1
第3順位 兄弟姉妹

配偶者3分の2・兄弟姉妹3分の1
※父母の一方を同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の2分の1

 

 

昭和22年5月2日から昭和23年12月31日の間に開始した相続に適用
血族相続人 法定相続分
第1順位 直系卑属

配偶者3分の1.子3分の2
※非嫡出子の相続分は嫡出子の相続分2分の1

第2順位 直系尊属 配偶者2分の1・直系尊属2分の1
第3順位 兄弟姉妹

配偶者3分の2・兄弟姉妹3分の1
※全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹の相続分の区別なし

 

 

 

お電話によるお問い合せ

052-848-8033

 

メールによるお問い合せ

 

相続登記の相談室
〒467-0056
名古屋市瑞穂区白砂町二丁目9番地 
瑞穂ハイツ403号
運営事務所 司法書士八木隆事務所